トラップに対するブレークアウト

トラップに対するBreakout其の壱
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トラップ破り解説
2シーズン前からセンターラインパス(2ラインパス)がルールから無くなったNHL。攻撃チームがゾーンを広く使えるようになった為、各チームはフォワチェック重視型からトラップ(※1)を多用するようになった。このトラップに対してNHL各チームは独自のブレークアウト(※2)を研究しているようだけど、今日はホッケーの神様 ウエイングレツキーが監督を務めるフェニックスコヨーテズの対トラップ用ブレークアウトを紹介しよう。
パワープレー(※3)時によく使うダブルスイング、つまりD1がゴール裏でセット、D2とF1が2人同時にスイングする方法はみんなもよく使うブレークアウトだと思う。ただF1サイドにもう一人のFW(F2)も一緒にスイングする、要するに片方が2人、もう片方が1人と3人同時にスイングするトリプルスイングがフェニックスが使っているブレークアウト。
この方法だとD1がまずF1にパス、パスがD1から放たれた瞬間F2が軌道を変えミドルに開く。F1はパスを受けるとすぐにタッチパスでF2につなぐ。敵FWのXF2はその場に立ち止まっているだけなので、横の動きには対応できない。F2は相手トラップの間をかいくぐりNz(※4)を突破できるというわけ。
ここで大切なのはスイングしないF3(ストレッチマン)の動き。相手5人の間隔を引き伸ばす(英語でストレッチ)ことからこう呼ばれる。F3は敵DFを深い位置に釘づけるために相手ブルーライン付近で動きながらポジションを取ること。こうすることで相手DFは自陣ブルーライン付近まで下がらざるをえない。もちろん敵DFがマークにこなければ、1発ロングパスでブレークアウェイ(※5)を狙っても良い。ポイントはD1からのパスをF1が素早くタッチパスでF2につなぐこと。試してみてね。
用語解説
※1 トラップ(TRAP)~5人がリンク中央付近にポジションを取り相手をトラップ(罠)にはめることを目的とした守りのシステム。相手ゾーン(Az)に積極的にプレッシャーをかけるフォアチェックに比べて守備&カウンター攻撃重視の戦術
※2 ブレークアウト(BREAK OUT)~Dzからパスをつないで相手ゾーンに攻め込むときの玉出しのことをいう
※3 パワープレー(POWER PLAY)~反則による人数的優位側のことをいう。それに対し人数的不利側をショートハンド(SHORT HAND)またはペナルティキル(PENALTY KILL)という。
※4 ニュートラルゾーン(Nz)~リンク上ブルーラインからブルーラインまでのエリアのこと。自陣ブルーラインからゴールラインまでをディフェンディングゾーン(Dz)、相手ブルーラインからゴールラインまでをアタッキングゾーン(Az)という。
※5 ブレークアウェイ(BREAK AWAY)~試合中ゴーリーと1対1になる状況。日本ではノーマークシュートとも言うがこれは英語圏では通じない。

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